2020年の夏。本来なら、東京2020が華々しく開催され、東京が、日本が活気に溢れて、希望や感動で満たされる特別な夏になるはずでした。
しかし、残念ながら、現在はコロナ禍にあり、2021年の夏に東京2020は延期になりました。
オリンピック招致時に発表された、大会概要では、コンパクトな大会を謳っていましたが、全37会場のうち新設は22会場の予定とされており、このうち11会場を恒久施設とすると発表されました。
競技会場や選手村などの施設建設に要する費用は総額4554億円。
決して、金額も新設会場もコンパクトな大会とは、到底思えませんでした。
昨今の度重なる天災で、日本は処理量を遥かに超える災害廃棄物を抱えており、毎年毎年その量は増え、気がつけば、一時保管場所に災害廃棄物が積み上げられている光景を目にします。
これからも、増え続けていくとされている、大雨や洪水に伴う家屋の浸水や建物の崩壊による災害廃棄物はおそらく増加の一途を辿るでしょう。
明らかに日本は、狭い国ながら、かなりの効率で、廃棄物を処理し続けなければなりません。
ここから、東京2020の話題に戻り、オリンピックに伴う廃棄物の話題に触れたいと思います。
そうなんです。
ただでさえ、増え続ける災害廃棄物以外にも、日本は考えなければならない、大きな廃棄物の問題があると私は思っています。
私にはどうしても、東京2020は、コンパクトな大会とは思えない理由があるのです。
大規模イベントに伴う、新規建造物は、雇用を生み、経済の潤滑油となることは間違いありません。
日本の経済の落ち込みに対して、また、あらゆる災害からの復興のシンボルとして、オリンピック会場の新設は、国民が待ち望む希望の象徴かも知れません。
しかし、そこには、日本が抱える問題がかくれていると、私は思っています。
それは、会場新設に伴う建築廃棄物。
いわゆる産業廃棄物の増加です。
既存の会場を壊して、新たな会場を作る場合、壊された建造物の鉄筋やコンクリートなどが全て廃棄物となります。
また、新たに埋立地を確保したり、土壌整備に伴う汚泥なども、産業廃棄物となります。
国は、この東京2020開催によって生まれる産業廃棄物についてどのように考えているか、オリンピック招致の時、私は全く想像することが出来ませんでした。
ところが、こんな、一国民の疑問に対して、しっかり国は動いていました。
それは、最近よく目にしたり聞くようになった、SDGs(持続可能な開発目標)です。SDGsとは、私が説明するまでもないでしょうが、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標のことです。
なんと、そこには、東京都資源循環・廃棄物処理計画というものが掲げられていました。
オリンピックを開催するだけではなく、資源循環や廃棄物処理に関する計画を入念に練っているようです。
SDGsの目標12は、「つくる責任 つかう責任」と謳っています。
この中には、廃棄物の管理や削減する取り組みの内容が書かれているとのこと。
あ?、私の勉強不足でした。
勝手に、オリンピック会場を新設するだけで、建築に伴う産業廃棄物のことを国は考えていないと思ってました。
産業廃棄物の問題、そして産業廃棄物処理について、何か疑問に思ったり、国の考えを学んでみようと思わなければ、私は東京2020と産業廃棄物とSDGsを関連づけて考えることはなかったと思います。なんでも、勉強、勉強ですね。
知り合いに奈良県で産廃処理をしている方がいらっしゃいますが、産業廃棄物の問題は相当深刻だとおっしゃっていました。